岩手県立博物館に行ってきました

 今日は岩手県立博物館に行ってきました。
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 先日の古生物学会でクジラの初期進化に関する講演を聞いて古鯨類に興味が沸いてきました。講演中に言及されていたミズホクジラ(Herpetocetus sendaicus)やマエサワクジラ(Burtinopsis sp.)などの化石鯨類のレプリカはいずれも岩手県立博物館に展示されています。まずは現物を見に行ってみよう!
 ということで、初めて伺ったのが先月の3連休。
 どこがどうなっているのかしっかり記憶して帰らねば。(でも鳥類とは骨が全然違うのでどうにもならない)
 メモとデジカメを持って復元骨格の周りを憔悴したツキノワグマのごとくくるくる回っていると、親切な学芸員さんが声をかけてくださいまして、シリーズ化した一般配布用の資料をいただき、その上まさかお話できると思ってなかった方(※1)と直接お話できる機会まで頂きました。
 岩手県立博物館の皆様、本当にありがとうございました。
 そして今日の目的は、前の訪問時のお礼というわけではありませんが、前回話題にのぼった始祖鳥骨格標本(サーモポリス標本)についての論文の写しをお渡しすることと、先日うまく撮影できず心残りだった骨質歯鳥類の一種(Pseudodontornithidae gen. et sp. indet.)の上腕骨(標本番号 IPMM 40061)の写真もしっかり撮影してくることで、結論を言えば両方とも達成できました。本当に岩手県立博物館の皆様にはお世話になりっぱなしで恐縮です。


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 ミズホクジラ(Herpetocetus sendaicus)の頭骨クローズアップ。原始的なヒゲクジラです。この角度だと額の曲線がでこっぱちでヒゲクジラらしくない印象ですが、正面・真上から見るとやっぱりヒゲクジラ以外の何者でもありません。
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マエサワクジラ(Burtinopsis sp.)です。今のミンククジラ辺りと比較してもあまり変わりない印象です。マエサワクジラはナガスクジラ科に分類される現代的なクジラです。
 面白いのは、この2頭の化石はほとんど離れていない場所で見つかっていることです。骨質歯鳥類も出ていますし、竜の口層群の前沢近辺あたりは本当にいろいろ凄い。
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 この骨質歯鳥類の一種(Pseudodontornithidae gen. et sp. indet.)の上腕骨(標本番号 IPMM 40061)、長さは約70cmで、これから予想される翼長は5mとのことです。アルゲンタヴィスよりは小さいとはいえ、現生のアホウドリを軽く上回るサイズの巨鳥です。こんな凄い鳥が前沢上空を飛行していたんですね。
 骨質歯鳥類は現生のペリカンやコウノトリに近縁と見られるグループで、クチバシに鋸のような突起を持っていることからそのように呼ばれています。始祖鳥の歯は歯槽におさまった本物の歯ですが、骨質歯鳥類の歯のように見える部分はクチバシについた単なる突起です。
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 当地らしい写真も撮ってきました。生類の初期進化のコーナーです。3体の立体復元模型は左から始祖鳥(Archaeopteryx sp.)、中華竜鳥(シノサウロプテリクス)、ディノニクスです。
 ディノニクス(ドノマエオサウルス類)と始祖鳥がいかに良く似ているかが分かる良い展示です。
【注釈】
※1 ブログ上でお名前(実名)を出すのは良くないのではと思い自粛です。

岩手県立博物館に行ってきました」への1件のフィードバック

  1.  ディノニクスの復元骨格模型は結構早い時期に入ったもののようです。(尻尾の先端が垂れ下がっている=腱で固められていない解釈)
     しかし、こうやって並べると始祖鳥って「1/5ディノニクス」ですね。

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